モーツァルト・伝説の録音

エーリッヒ・クライバー
[1890-1956]
Erich Kleiber

[第3巻の構成について]CD12枚収録

第3巻ではオペラ・宗教曲・交響曲・協奏曲、歌曲など、モーツァルトの魅力を満載した演奏を集めました。SP時代にはオーケストラ曲などの大編成の録音は困難を極めました。それにもかかわらず、ここに収録された演奏は現代のメカニックな演奏とは違い、人間味溢れる個性的な、品格のあるものが多いのです。モーツァルトの「伝説の録音」、SP盤に刻まれた、私たち人類に遺された文化遺産を存分にお楽しみください。

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CD-25-26 オペラOPERA

作品名 録音 演奏 ガイド
1-18
(CD25)

歌劇「魔笛」K.620
序曲
第1幕

Die Zauberflöte, K.620
Overture
Act Ⅰ

1937年
ベルリン録音
ヴィルヘルム・シュトリエンツ(bas=ザラストロ)
ヘルゲ・ローズヴェンゲ(ten=タミーノ)
エルナ・ベルガー(sop=夜の女王)
ティアナ・レムニッツ(sop=パミーナ)
ヒルデ・シェッパン(sop=第一の侍女)
エリフリーデ・マールヘル(mez=第二の侍女)
ルート・ベルグント(alt=第三の侍女、第三の童子)
イルマ・バイルケ(sop=パパゲーナ、第一の童子)
ゲルハルト・ヒュッシュ(bar=パパゲーノ)ほか
サー・トーマス・ビーチャム指揮 
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン国立歌劇場のメンバーとファヴレ合唱団
Wilhelm Strienz(bas=Sarastro)
Helge Rosvänge(tenor=Tamino)
Erna Berger(sop=Queen of the Night)
Tiana Lemnitz(sop=Pamina)
Hilde Scheppan(sop=First Lady)
Elfriede Marherr(mez=Second Lady)
Rut Bergund(alt=Third Lady, Third Boy)
Irma Beilke(sop=Papagena, First Boy)
Gerhard Hüsch(bar=Papageno)
Sir Thomas Beecham conducting
The Berlin Philharmony Orchestra
Members of the Berlin State Opera and Favres
Solisten Vereinigung
1937年、SPレコード最初のモーツァルト全曲オペラは、トーマス・ビーチャム指揮、ベルリン・フィルのこの「魔笛」。ドイツはナチスの時代、わざわざイギリスからビーチャムを送り込んで録音。とにかくナチスは表向き文化を尊重するというのがゲッベルス文化相の方針だった。歌が中心でセリフはない。舞台上でのオペラ上演とは違い、レコーディングは必ずしもスコアの順番ではなく、できるところから録音したという。ビーチャムは、ビーチャム製薬(今のグラクソ・スミスクライン)の御曹司、オックスフォード大学中退後、1899年ハンス・リヒターの代役で指揮者デビュー。その後自らのオーケストラを設立するなど、莫大な資産を投じイギリス音楽界に貢献した大指揮者。パパゲーノは、何度も来日しているゲルハルト・ヒュッシュ。夜の女王は、エルナ・ベルガーなど演奏者は全部超一流。「魔笛」の記念碑的録音盤。
1-21
(CD26)

歌劇「魔笛」K.620
第2幕

Die Zauberflöte, K.620
Act Ⅱ

同上 同上 同上

CD-27 交響曲集-1SYMPHONIES-1

作品名 録音 演奏 ガイド
1-6

交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」

Symphony No.36 in C major, K.425 "Linz"

1947年
コペンハーゲン録音
フリッツ・ブッシュ指揮
デンマーク国立放送交響楽団
Fritz Busch conducting
The Danish State Radio Symphony Orchestra
シンフォニーは案外知られていない演奏を集めた。そのため曲は一曲もダブっていない。36番の「リンツ」は、フリッツ・ブッシュ(1890-1951)の指揮、ブッシュ弦楽四重奏団のアドルフ・ブッシュの兄。これは彼がデンマークで後進の指導に当たっていた当時の録音。
7-12

交響曲第39番変ホ長調 K.543

Symphony No.39 in E flat major, K.543

1927年
ベルリン録音
エーリッヒ・クライバー指揮
ベルリン国立歌劇場管弦楽団
Erich Kleiber conducting
The Berlin State Opera Orchestra
最近では息子のカルロス・クライバー(1930-2004)の方が有名だが、これはカルロスではなくてエーリッヒ、お父さんのほうのクライバー。お父さんのエーリッヒがいかに凄かったのかよくわかる。
13-19

交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」

Symphony No.41 in C major, K.551 "Jupiter"

1941年
ミュンヘン録音
オズヴァルト・カバスタ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
Oswald Kabasta conduting
The Munich Philharmonic Orchestra
日本では知名度ゼロだが、オズヴァルト・カバスタ(1896-1946)はナチス党員指揮者、ナチの党員になればいろいろ優遇されることで自ら入党。この録音は1941年、昭和16年5月、日米開戦の半年前、もう彼が党員の時代。戦後は一転、ナチスに協力したことで仕事もなくなリ、1946年に夫人と心中し、世を去ったという悲劇の指揮者。録音数も少なくあまり知られていないが、演奏は一流。ナチに協力した人たちのLPやCDの再発というのは、欧米では発売は敬遠されていた。

CD-28 交響曲集-2SYMPHONIES-2

作品名 録音 演奏 ガイド
1-6

交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」

Symphony No.35 in D major, K.385 "Haffner"

1929年
ニューヨーク録音
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
Arturo Toscanini conducting
The Philharmonic Symphony Orchestra of
New York
トスカニーニは1867年の生まれ。世界大戦中はファシズムと戦い、戦後も活躍。すべての曲を暗譜できた稀有な指揮者。単なるインテンポでなく、どこまで楽譜に忠実に迫れるか。トスカニーニが後世の音楽家にあたえた影響は大きい。
7-12

交響曲第38番ニ長調 K.504 「プラハ」

Symphony No.38 in D major, K.504 "Prague"

1936年
ウィーン録音
ブルーノ・ワルター指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Bruno Walter conducting
The Vienna Philharmonic Orchestra
モーツァルトのシンフォニーというと、戦後、LPレコード時代にコロンビア交響楽団と録音したワルター盤が著名だが、これはワルターが1939年にアメリカに亡命する前、ウィーン・フィルと録音した絶頂期の第38番「プラハ」。
13-19

交響曲第40番ト短調 K.550

Symphony No.40 in G minor, K.550

1927年
ベルリン録音
リヒャルト・シュトラウス指揮
ベルリン国立歌劇場管弦楽団
Richard Strauss conducting
The Berlin State Opera Orchestra
小林秀雄の『モオツァルト』の中で「悲しみは疾走する」と言ったのは何の曲かいろいろ話題になるが、彼が聴いたのはこのリヒャルト・シュトラウス指揮の交響曲第40番だと推測できる。さて、「悲しみは疾走する」か?

CD-29 協奏交響曲集SINFONIA CONCERTANTI

作品名 録音 演奏 ガイド
1-7

オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲変ホ長調
K. Anh.9(297b)

Sinfonia Concertante in E flat major, K.Anh.9(297b) for Oboe, Clarinet, Horn, Bassoon, and Orchestra

1937年
ベルリン録音
エーリッヒ・ヴェンツケ(ob)
アルフレート・ビュルクナー(cl)
マルティン・ツィラー(hrn)
オスカー・ローテンシュタイナー(bsn)
近衛秀麿指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
Erich Venzke(ob) Alfred Bürkner(cl)
Martin Ziller(hrn)
Oskar Rotensteiner(bsn)
Viscount Hidemaro Konoye conducting
The Berlin Philharmonic Orchestra
近衛秀麿がサンフォニー・コンセルタント、管のほうのK.297bを録音。日本の指揮者がベルリン・フィルを指揮して、しかも、プライベート・レコーディングではない。英コロンビアの原盤。これは画期的なことで大変貴重なもの。近衛秀麿は終戦直後自決した元首相・近衛文麿の弟、元首相の細川護熙の母方の大叔父になる。
8-15

ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
変ホ長調 K.364(320d)

Sinfonia Concertante in E flat major, K.364(320d)
for Violin, Viola and Orchestra

1941年
ニューヨーク録音
アルバート・スポールディング(vn)
ウィリアム・プリムローズ(va)
フリッツ・スティードリー指揮
ニュー・フレンズ・オブ・ミュージック管弦楽団
Albert Spalding(vn)
William Primrose(va)
Fritz Stiedry conducting
The New Friends of Music Orchestra
アルバート・スポールディング(1888-1953)はシカゴ生まれ。1905年にパリ、デビュー。1908年にはニューヨーク、デビュー。パリ音楽院の試験官に選出された初めてのアメリカ人。ウィリアム・プリムローズ(1903-1982)はイギリス、グラスゴー生まれ。イギリスで活躍した後、アメリカに渡る。1955年からジュリアード音楽院の教授。ふたりの大物の共演。

CD-30 イギリスの管楽器奏者たちTHE ENGLISH WIND-PLAYING TRADITION

作品名 録音 演奏 ガイド
1-4

ホルン協奏曲第3番変ホ長調 K.447 (カデンツァ: マリオン・ブレイン)

Horn Concerto No.3 in E flat major, K.447
Cadenzas: Marion Brain

1940年
ロンドン録音
オーブリー・ブレイン(hrn)
サー・エイドリアン・ボールト指揮
BBC 交響楽団
Aubrey Brain(hrn)
Sir Adrian Boult conducting
The BBC Symphony Orchestra
父オーブリーは、1911年ロンドン新交響楽団の首席ホルン奏者に。王立音楽アカデミーで、息子デニスは父から指導を受ける。3番のカデンツァは夫人のマリオン・ブレインが書いている。
5-8

ホルン協奏曲第4番変ホ長調 K.495(カデンツァ: デル・マー)

Horn Concerto No.4 in E flat major, K.495
Cadenzas: Norman del Mar

1943年
ロンドン録音
デニス・ブレイン(hrn)
サー・マルコム・サージェント指揮(第1楽章)
ローレンス・ターナー指揮(第2、第3楽章)
ハレ管弦楽団
Dennis Brain(hrn)
Sir Malcolm Sargent(1st Movement)
& Laurence Turner(2nd & 3rd Movements)
conducting The Hallé Orchestra
デニスはカー・マニアで、1957年9月1日、エディンバラ音楽祭からロンドンへ戻る途中で自ら運転するスポーツカー(トライアンフTR2)の事故で命を落とす。カラヤンの指揮で4曲のコンチェルトを録音しているが、これはそれ以前、伝説のホルン奏者の若き日、第2番が26歳、第4番が22歳の貴重な録音である。第4番は第1楽章だけサージェントが指揮し、第2楽章と第3楽章は助手のターナーが指揮している。まったくおかしな話で、若者のデニスを軽く扱ったサージェントが、「ちょっと約束があって出かけるので、君、頼むよ」とでも言ったのだろうか。そんなことを想像するのも楽しい。
9-12

ホルン協奏曲第2番変ホ長調 K.417

Horn Concerto No.2 in E flat major, K.417

1947年
ロンドン録音
デニス・ブレイン(hrn)
ワルター・ジュスキント指揮
フィルハーモニア管弦楽団
Dennis Brain(hrn)
Walter Susskind conducting
The Philharmonia Orchestra
同上
13-16

ホルン、ヴァイオリン、2つのヴィオラとチェロのための五重奏曲変ホ長調 K.407(386c)

Quintet for Horn, Violin, 2 Violas and Cello in E flat major, K.407(386c)

1945年
ロンドン録音
デニス・ブレイン(hrn)
シドニー・グリラー(vn)
フィリップ・バートン(va)
マックス・ギルバート(va)
コリン・ハンプトン(vc)
Dennis Brain(hrn)
Sydney Griller(vn)
Philip Burton(va)
Max Gilbert(va)
Colin Hampton(vc)
イギリス有数の四重奏団、グリラー弦楽四重奏団(1931年に結成)のメンバーにヴィオラのマックス・ギルバートが加わった五重奏。1945年3月9日イギリスでの録音。ドイツが連合国に無条件降伏したのはこの録音の2ヶ月のち、1945年5月7日だった。
17-21

ファゴット協奏曲変ロ長調 K.191(186e)(カデンツァ: ハーティ)

Basson Concerto in B flat major, K.191(186e)
Cadenzas: Hamilton Harty

1926年
ロンドン録音
アーチー・キャムデン(bsn)
サー・ハミルトン・ハーティ指揮
ハレ管弦楽団
Archie Camden(bsn)
Sir Hamilton Harty conducting
The Hallé Orchestra
アーチー・キャムデンはイギリスでドイツのファゴットを演奏した最初の人。1933年から1946年までBBC交響楽団に所属、その後80歳までソロ活動を行った。キャムデンの著書『バスーンのテクニック』は現在もファゴット奏者に読み継がれている。

CD-31 レナーと仲間たちLÉNER AND COMPANY

作品名 録音 演奏 ガイド
1-4

オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370(368b)

Oboe Quartet in F major, K.370(368b)

1933年
ロンドン録音
レオン・グーセンス(ob)
イェノ・レナー(vn)
シャーンドル・ロート(va)
イムレ・ハルトマン(vc)
Léon Goossens(ob)
Jenö Léner(vn)
Sándor Roth(va)
Imre Hartman(vc)
レオン・グーセンスは1932年ビーチャムによって創立されたロンドン・フィルハーモニーの首席オーボエ奏者。しばしばビーチャムの代役としてオーケストラのリハーサルを行った。内田光子さんは「グーセンスの演奏は最高。今の人たちにこの演奏をぜひ聴かせたい」と言っていた。
5-12

クラリネット五重奏曲イ長調 K.581

Clarinet Quintet in A major, K.581

1928年
ロンドン録音
チャールズ・ドレイパー(cl)
レナー弦楽四重奏団
イェノ・レナー(vnⅠ)
ヨーゼフ・スミロヴィッツ(vnⅡ)
シャーンドル・ロート(va)
イムレ・ハルトマン(vc)
Charles Draper(cl)
Léner String Quartet
Jenö Léner(vnⅠ)
Joseph Smilovitz(vnⅡ)
Sándor Roth(va)
Imre Hartman(vc)
チャールズ・ドレイパーはイギリスのサマーセットシャーの生まれ、ロイヤル・アカデミーやギルド・ホール音楽校の教授をつとめ、イギリスのクラリネット界の祖父と尊敬された。戦前SPレコード時代にドレイパーとレナー弦楽四重奏団のこの曲はベストセラー盤だった。
13-20

弦楽五重奏曲ト短調 K.516

String Quintet in G minor, K.516

1930年
ロンドン録音
レナー弦楽四重奏団
L.ドリヴェイラ(vaⅡ)
Léner String Quartet
Jenö Léner(vnⅠ)
Joseph Smilovitz(vnⅡ)
Sándor Roth(vaⅠ)
L. D’Oliveira(vaⅡ)
Imre Hartman(vc)
これも当時のベストセラー。といっても、この曲の録音は当時2種類しかなかった。もう一つはベルギーのプロ・アルトというクァルテット。1960〜70年代にはレナーのようなポルタメントの大きな演奏は全く受け入れられなかった。今の古楽器の演奏なんかに比べたら、ずっとこのほうがいいと思うのだが。

CD-32 パリ音楽院派の木管奏者たち-1 マルセル・モイーズとルネ・ル・ロワWOODWIND SOLOISTS OF THE PARIS CONSERVATOIRE SCHOOL-1

作品名 録音 演奏 ガイド
1-6

フルート協奏曲第1番ト長調 K.313(285c)(カデンツァ: タファネル)

Flute Concerto No.1 in G major, K.313(285c)
Cadenzas: Paul Taffanel

1936年
パリ録音
マルセル・モイーズ(fl)
ウジェーヌ・ビゴー指揮管弦楽団
Marcel Moyse(fl)
Eugène Bigot conducting Symphony Orchestra
20世紀最高のフルート奏者、現代フルート奏法の確立者。1903年パリ音楽院入学、ポール・タファネル、アドルフ・エネバン、フィリップ・ゴーベールに学ぶ。3年後にはフルート科で1等賞を得る。モイーズの教則本『ソノリテ』は今でもフルート学習者にとっては避けては通れないもの。モイーズの演奏するこの協奏曲1番、2番ほど歴史的名盤の名にふさわしいものはない。弟子に、ウィリアム・ベネット、オーレル・二コレなど。日本にも度々来訪、吉田雅夫などモイーズに教えを乞うた日本人も多い。
7-10

フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314(285d)(カデンツァ: ド・ドンジョン)

Flute Concerto No.2 in D major, K.314(285d)
Cadenzas: Johannes de Donjon

1930年
パリ録音
マルセル・モイーズ(fl)
ピエロ・コッポラ指揮管弦楽団
Marcel Moyse(fl)
Piero Coppola conducting Symphony Orchestra
同上
11-16

フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K.299(297c)(カデンツァ: グレネル)

Concerto in C major, for Flute, Harp and Orchestra, K.299(297c)
Cadenzas: Paul Graener

1931年
パリ録音
マルセル・モイーズ(fl)
リリー・ラスキーヌ(hp)
ピエロ・コッポラ指揮管弦楽団
Marcel Moyse(fl)
Lili Laskine(hp)
Piero Coppola conducting Symphony Orchestra
ラスキーヌは1904年にパリ音楽院に入学。13歳で1等賞を得る。16歳でパリ・オペラ座に入団。オペラ座史上初めて入団を許された女性演奏者。1934年、ドナウエッシンゲン国際現代音楽祭に出演し、活躍の場を世界に広げた。多くのユダヤ人がフランスを脱出したなかで、第二次大戦中もフランスを去らずマルセイユにとどまった。モイーズとラスキーヌ2人の巨匠の共演。
17-19

フルート四重奏曲第4番イ長調 K.298

Flute Quartet No.4 in A major, K.298

1937年
パリ録音
ルネ・ル・ロワ(fl)
パスキエ三重奏団
ジャン・パスキエ(vn)
ピエール・パスキエ(va)
エティエンヌ・パスキエ(vc)
René le Roy(fl)
Pasquier Trio
Jean Pasquier(vn)
Pierre Pasquier(va)
Étienne Pasquier(vc)
ルネ・ル・ロワはフランスのフルート奏者。1916年から18年までパリ音楽院でフィリップ・ゴーベールに師事した。1922年パリ器楽五重奏団を組織しヨーロッパ各地、アメリカでも演奏活動。1955年から64年までパリ音楽院管楽アンサンブル科教授。1964年にはパリ市立音楽院の学長。ル・ロワは室内楽が多く一般にはなじみが薄いが、フルート学習者からは非常に珍重されるレコードだ。

CD-33 パリ音楽院派の木管奏者たち-2 カユザック、ドレクリューズ、ウーブラドゥWOODWIND SOLOISTS OF THE PARIS CONSERVATOIRE SCHOOL-2

作品名 録音 演奏 ガイド
1-7

クラリネット五重奏曲イ長調 K.581

Clarinet Quintet in A major, K.581

1947年
コペンハーゲン録音
ルイ・カユザック(cl)
コッペル弦楽四重奏団
エルゼ・マリー・ブルーン(vnⅠ)
アンドレアス・ティレゴッド(vnⅡ)
ユリウス・コッペル(va)
トルベン・アントン・スヴェンセン(vc)
Louis Cahuzac(cl)
Koppel Quartet
Else Marie Bruun(vnⅠ)
Andreas Thyregod(vnⅡ)
Julius Koppel(va)
Torben Anton Svendsen(vc)
カユザック(1880-1960)は、パリ音楽院でシリル・ローズに師事、1899年に1等賞を得る。1935年ローマでモーツァルトの作品を演奏。デンマーク国立放送交響楽団の首席クラリネット奏者などを歴任。同じ曲のレナー弦楽四重奏団とドレイパー盤に比べるとずっとフランス的。第2楽章などはまるでパリの裏通りを酔っ払いがふらふらと歩いているよう。
8-10

クラリネット協奏曲イ長調 K.622

Clarinet Concerto in A major, K.622

1952年
パリ録音
ユリス・ドレクリューズ(cl)
フェルナン・ウーブラドゥ指揮室内管弦楽団
Ulysse Delécluse(cl)
Fernand Oubradous conducting Chamber
Symphony Orchestra
ドレクリューズは1925年パリ音楽院で1等賞賞を得る。1935年シャルル・ミュンシュに要請されパリ・フィルハーモニーで演奏。その後、1970年代までパリ・オペラ座管弦楽団などフランスの主要オーケストラでソリストとして活躍。
11-14

ファゴット協奏曲変ロ長調 K.191(186e)(カデンツァ: ウーブラドゥ)

Bassoon Concerto in B flat major, K.191(186e)
Cadenzas: Fernand Oubradous

1936年
パリ録音
フェルナン・ウーブラドゥ(bsn)
ウジェーヌ・ビゴー指揮管弦楽団
Fernand Oubradous(bsn)
Eugène Bigot conducting Orchestra
ウーブラドゥは1903年パリ生まれ。ファゴット奏者、指揮者、作曲家。パリ音楽院でブルドーに師事。パリ・オペラ座管弦楽団の首席奏者。1924年オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管三重奏団「トリオ・ダンシュ」を結成している。

CD-34 レクイエムREQUIEM

作品名 録音 演奏 ガイド
1-17

レクイエムニ短調 K.626

Requiem in D minor, K.626

1941年
ローマ録音
ピア・タッシナーリ(sop)
エベ・スティニャーニ(mez)
フェルッチョ・タリアヴィーニ(ten)
イタロ・ターヨ(bas)
ヴィクトル・デ・サバタ指揮
トリノ放送管弦楽団 (E.I.A.R.)と合唱団
Pia Tassinari(sop)
Ebe Stignari(mez)
Ferruccio Tagliavini(ten)
Italo Tajo(bas)
Victor de Sabata conducting
The E.I.A.R. Orchestara and Chorus
戦時下、1941年のローマ・モーツァルト音楽祭でヴィクトル・デ・サバタの指揮で録音された。同年のモーツァルト没後150年祭は、ナチス・ドイツ、イタリアのファシズムによるモーツァルトの政治利用の側面を忘れてはなるまい。戦意高揚に利用されたモーツァルト讃美は、サバタの指揮にも影響を与えていたのだろう。演奏スタイルは宗教音楽というより、豪華絢爛な歌手を揃えたオペラに近い。本全集の全巻予約特典盤、1931年録音のメスナー盤の持つ、この曲本来の精神性はここでは希薄である。「レクイエム」2種の比較は興味深い。ともあれ記念碑的録音ではある。

CD-35 機械式(ラッパ吹き込み)録音集 (1905-1924)ACOUSTICAL RECORDINGS (1905-1924)

作品名 録音 演奏 ガイド
1

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜恋とはどんなものかしら

Voi, che sapete che cosa è amor
from Le Nozze di Figaro, K.492

1905年
イギリス録音
アデリーナ・パッティ (sop)
サー・ランドン・ロナルド (p)
Adelina Patti(sop)
Sir Landon Ronald(p)
生前から伝説的存在だった「究極の」プリマドンナ。英国グラモフォン社は1905年12月、パッティの住むウェールズのクレジノ城まで出かけて録音した。録音を試聴したパッティは「なぜ私がパッティなのか、やっと判ったわ」と言ったとか。
2

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜恋とはどんなものかしら

Voi, che sapete che cosa è amor
from Le Nozze di Figaro, K.492

1907年
アメリカ録音
デイム・ネリー・メルバ (sop)
Dame Nellie Melba(sop)
ロンドンのコヴェントガーデン歌劇場を中心に活躍し、英語圏最高のソプラノ歌手に上り詰めたネリー・メルバ。その芸名は彼女の故郷であるオーストラリアのメルボルンから取られた。
3

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜伯爵夫人のアリア「愛の神よ照覧あれ」

Porgi amor qualche ristoro
from Le Nozze di Figaro, K.492

1907年
イタリア録音
リリー・レーマン (sop)
Lilli Lehmann(sop)
リリー・レーマンはドイツのソプラノ。19世紀末、最高のワーグナー歌手と言われた。初めて録音スタジオに入ったときすでに50代後半、その芸歴は40年を超えていた。だがその歌声からは、伯爵夫人の威厳と諦念が胸に迫る。
4

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜恋とはどんなものかしら

Voi, che sapete che cosa è amor
from Le Nozze di Figaro, K.492

1910年
ロンドン録音
デイム・ネリー・メルバ (sop)
Dame Nellie Melba(sop)
メルバの「フィガロ」をもう1曲。余談だがピーチ・メルバというのは、メルバが好んで食べたモモが入ったクリームが乗っているスウィーツのこと。今も帝国ホテルにはあるかも。彼女の名前を冠したケーキが登場するほどメルバは有名だったということ。
5

フリース:モーツァルトの子守歌

Flies: Wiegenlied

1912年
ベルリン録音
フリーダ・ヘンペル (sop)
Frieda Hempel(sop)
ヘンペル(1885-1955)はドイツ出身の名ソプラノ。オペラ歌手として活躍後、当時は、まだ高尚と思われていた歌曲の分野に転身、大成功を収めた。自由で清楚な歌いぶりが魅力。
6

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜自分で自分がわからない

Flies: Wiegenlied

1917年
アメリカ録音
アメリータ・ガリ=クルチ(sop)
Amelita Galli-Curci(sop)
戦前の機械式吹き込み(ラッパ吹き込み)時代のベストセラーがこのガリ=クルチ。ガリ=クルチというのは、その歌声を聴いただけでも男心をくすぐるような妖艶な歌い手だった。ガリ=クルチが好きだとは、あまり表向きには言えなかったらしい。
7

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜自分で自分がわからない(ドイツ語歌唱)

Non so più cosa son(Sung in German)
from Le Nozze di Figaro, K.492

1920年
ベルリン録音
エリーザベト・シューマン(sop)
Elisabeth Schumann(sop)
エリーザベト・シューマンはドイツのソプラノ。1909年ハンブルク市立劇場でタンホイザーの牧童を歌ってデビュー。1919年からウィーン国立オペラの一員。その後、ミラノ・スカラ座、ベルリンなどでも客演。1938年にはナチスを逃れ、ドイツを離れる。清澄な声と可憐な表情を持ったソプラノ歌手で、リート歌いとしては、日本では特に好まれた。R.シュトラウスの『薔薇の騎士』のゾフィー役で、彼女は永遠に記憶されている。
8

歌劇「フィガロの結婚」K.492より
〜恋とはどんなものかしら(ドイツ語歌唱)

Voi, che sapete che cosa è amor
from Le Nozze di Figaro, K.492

同上 同上 同上
9

アダン:モーツァルトの「ああ、お母さんに聞いて」による変奏曲(キラキラ星変奏曲)

Adam: Ah! vous dirai-je, maman(based on
Mozart’s Variations K.265)

1921年
アメリカ録音
アメリータ・ガリ=クルチ(sop)
クレメント・バローン(fl助奏)
Amelita Galli-Curci(sop)
Clement Barone(fl obbligato)
再びガリ=クルチ登場、モーツァルトの変奏曲を歌う。「なまめかしい歌声を青年が一人ひそかに隠れて蓄音機で聴いていた。そういう隠れガリ=クルチファンというのがいっぱいいた」という。こんな話を古いSPレコードのコレクターから聞いたことがある。
10

アレルヤ K.165

Alleluja K.165

1923年
アメリカ録音
ジークリッド・オネーギン(mez)
Sigrid Onégin(mez)
オネーギン(1889-1943)はストックホルムの生まれ、1911年、当初はリリー・ホフマンの名でデビュー。エルネスティーネ・シューマン=ハインク以来最良のコントラルトと言われた。ブラームスの『アルト・ラプソディ』の名演で記憶されている。
11

フリース:モーツァルトの子守歌

Flies: Wiegenlied

同上 同上 同上
12

歌劇「フィガロの結婚」 K.492より
〜愛の歓びよ早く来い

Deh vieni, non tardar, o gioria bella
from Le Nozze di Figaro, K.492

1924年
ロンドン録音
トティ・ダル・モンテ(sop)
Toti dal Monte(sop)
トティ・ダル・モンテはイタリア生まれ。ベネチアのマルチェロ音楽院でピアノを学んだ後、声楽をバルバラ・マルキシオに師事。1916年ミラノ・スカラ座デビュー。
13-16

交響曲第40番ト短調 K.550 短縮版

Symphony No.40 in G minor, K.550
Abridged Version

1915年
アメリカ録音
ヴィクター・コンサート・オーケストラ
Victor Concert Orchestra
画期的なシンフォニーの機械式吹き込み(ラッパ吹き込み)。1面に1楽章入るようにカットした省略版だが、これでも十分モーツァルトの「40番」が楽しめた。
17

クラリネット五重奏曲イ長調 K.581
第2楽章ラルゲット

Clarinet Quintet in A major, K.581~ Larghetto

1916年
アメリカ録音
パブロ・カザルス(vc)
弦楽四重奏団
Pablo Casals(vc) with
String Quartet
モーツァルトにはチェロの曲がないが、カザルスはどうしてもチェロで弾いてみたかったに違いない。カザルスの演奏するモーツァルトが聴ける貴重盤。
18

交響曲第40番ト短調 K.550
第3楽章メヌエット

Symphony No.40 in G minor, K.550~ Minuet

1919年
アメリカ録音
レオポルド・ストコフスキ指揮
フィラデルフィア管弦楽団
Leopold Stokowski conducting
The Philadelphia Orchestra
これは1919年の録音。37歳のストコフスキ(1882-1977)の指揮、フィラデルフィア管弦楽団の「40番」3楽章メヌエットだけ、これも稀少盤である。
19

交響曲第39番変ホ長調 K.543
第3楽章メヌエット

Symphony No.39 in E Flat major, K.543~ Minuet

1920年
アメリカ録音
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団
Arturo Toscanini conducting
La Scala Orchestra, Milan
それから、トスカニーニ。これはスカラ座の時代、アメリカでポストを持つ前の1920年の録音、こちらは「39番」のメヌエット、大指揮者の初期の演奏が聴ける稀少盤。

CD-36 みんなの好きなモーツァルトLOVED BY EVERYBODY

作品名 録音 演奏 ガイド
1-4

セレナード第13番ト長調 K.525
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

Serenade No.13 in G major, K.525
"Eine kleine Nachtmusik"

1936年
ウィーン録音
ブルーノ・ワルター指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Bruno Walter conducting
The Vienna Philharmonic Orchestra
ワルター/ウィーン・フィルの名盤であり、定番の「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K.525。「アイネ・クライネ」はこれでなくてはという人も多いはず。ワルターがヨーロッパを去る2年前の録音。
5-7

三つのドイツ舞曲 K.605

3 German Dances, K.605

1937年
ウィーン録音
ブルーノ・ワルター指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Bruno Walter conducting
The Vienna Philharmonic Orchestra
「三つのドイツ舞曲」第3曲のトリオ部分は「そりすべり」と題され、鈴の音を用いた親しみやすい曲。ワルター/ウィーン・フィルのこれも名演奏。
8-11

音楽の冗談ヘ長調 K.522

Musical Joke in F major, K.522

1937年
ボストン録音
ドメニコ・カプート&ジョン・バローズ(hrns)
コーリッシュ弦楽四重奏団
ルドルフ・コーリッシュ(vnⅠ)
フェリックス・クーナー(vnⅡ)
オイゲン・レーナー(va)
ベナール・ハイフェッツ(vc)
Domenico Caputo & John Barrows(hrn)
Kolisch Quartet
Rudolf Kolisch(vnⅠ)
Felix Khuner(vnⅡ)
Eugen Lehner(va)
Benar Heifetz(vc)
ルドルフ・コーリッシュ(1896-1978)は子供の頃の怪我から、右手でヴァイオリンを持ち、左手で弓を持つヴァイオリニスト、四重奏団ではチェロも隣に座った。コーリッシュは後に義兄弟になるシェーンベルクに個人的に師事し、新ウィーン楽派の紹介をしたことで知られる。現代音楽のスペシャリストたちが弾いたモーツァルト。
12

ロンドニ長調 (クライスラー編)
「ハフナー・セレナード」 K.250より

Rondo (Arr. Fritz Kreisler)
from Serenade No.7 in D major, K.250 “Haffner”

1938年
ロンドン録音
フリッツ・クライスラー(vn)
フランツ・ルップ(p)
Fritz Kreisler(vn)
Franz Rupp(p)
モーツァルトのソナタなど一曲も録音していないのに、戦前、モーツァルトを一躍有名にしたのはクライスラーだろう。モーツァルトの名を借りたクライスラーによる一種の編曲。あきれるほど美しく、親しみやすい。
13

ディヴェルティメント第17番ニ長調 K.334
よりメヌエット(A.バッハマン編)

Minuet (Arr. A.Bachmann)
from Divertimento No.17 in D major, K.334

1939年
パリ録音
ドニーズ・ソリアノ(vn)
アンドレ・レルミット(p)
Denise Soriano(vn)
Andre Lermyte(p)
K.334のメヌエットはそこだけ独立してよく演奏された。CD2で登場したドニーズ・ソリアノが再び登場。誰もが知る名曲を弾く。
14

メヌエット ト長調 K.1 (フィッシャー編)

Minuet in G major, K.1(Arr. Edwin Fischer)

1933年
ロンドン録音
エトヴィン・フィッシャー(p)
Edwin Fischer(p)
モーツァルトの最初の作曲、5歳の時のK.1など、SPレコード時代には録音がないのでは?ところが驚いたことにフィッシャーの編曲がすでに著作権登録されていた。
15

ロンドニ長調 K.485

Rondo in D major, K.485

1947年
ニューヨーク録音
ワンダ・ランドフスカ(hpscd) ランドフスカがハープシコード(チェンバロ)で入れたトルコ行進曲。ランドフスカ特注の金属フレームのハープシコード使用。これは戦後アメリカ時代の録音。
16

トルコ行進曲 K.331 ─メヌエットニ長調 K.355

Turkish March, K.331-Minuet in D major, K.355

同上 同上 同上
17

アダン:モーツァルトの「ああ、お母さんに聞いて」による変奏曲(キラキラ星変奏曲)

Adam: Ah! vous dirai-je, maman(based on Mozart’s Variations K.265)

1949年
パリ録音
ルネ・ドリア(sop)
タッソー・ヤノプロ(p)
Renée Doria(sop)
Tasso Janopoulo(p)
ガリ=クルチが歌っていた同じ曲のこれはノン・カット盤。ルネ・ドリアは1921年フランス生まれ。戦後に活躍したパリのオペラ座のソプラノ歌手。
18

すみれ K.476

Das Veilchen, K.476

1945年
ロンドン録音
エリーザベト・シューマン(sop)
ジェラルド・ムーア(p)
Elisabeth Schumann(sop)
Gerald Moore(p)
ゲーテ作詞のモーツァルトの歌曲「すみれ」を名歌手エリーザベト・シューマンが歌う。ピアノ伴奏は著名なジェラルド・ムーア。日本では原爆投下、終戦の年の録音。
19

フリース:モーツァルトの子守歌

Flies: Wiegenlied

1930年
ロンドン録音
エリーザベト・シューマン(sop)
ローレンス・コリンウッド指揮管弦楽団
Elisabeth Schumann(sop)
Lawrance Collingwood conducting Orchestra
モーツァルトではなくフリースの作曲だが、レーベルには「モーツァルトの子守歌」と書いてあった。エリーザベト・シューマンの歌ったこの「子守歌」は、戦前、日本で最も売れたクラシックのSPレコードではないだろうか。

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