第19回 私のまわりにいるさまざまな猫たちの巻
お久しぶりです。
本業のNYトリオツアーがようやく終り、一方では日経新聞で連載した「私の履歴書」の単行本化の作業と「サンデー毎日」の連載が始まったという、生きた心地のしない日々ですが、だからこそ、猫ちゃんに逃げ込みたくなるのですね。
さて、今回は、私の友人、知人、仕事でお世話になっている方々の愛猫さんや、私にまつわる猫たちをずずいとご紹介したいと思います。
●旅編
旅先で猫に出会うと、絶対に近寄っていきますよね。
あるいは旅先でどうしても猫に会いたくなって友人宅を訊ねる。猫者の自然な行動です。
その1 カルタゴで出会った猫
去年の9月にチュニジアの音楽祭に参加して「チュニジアの夜」を弾いてきました。チュニジアであのジャズの名曲をやる人はそうもいないだろうと密かに自慢にしております。その時に現地のミュージシャンとも共演して、アラブ音楽の神髄を垣間見ました。次はカルタゴの音楽祭で会おうと約束していたのですが、直後にチュニジアから「ジャスミン革命」がおきてアラブ諸国は大変なことになりました。お世話になった高校の同級生の吉田寿孝さんの案内で訪れたカルタゴの遺跡にはこういう猫がいました。ローマ時代からの末裔でしょうか。
写真を撮ると近寄って来て靴をチェックしていました。ローマ軍兵士ではないと分かってその後なつきました。
その2 マンハッタンで開脚猫
作曲家で編曲家でジャズピアニストでコンダクターの挟間美帆(はざま・みほ)さんが、NYの友人の家で撮ったミントちゃんです。何という姿でしょう!飼い主は中久喜朋子さん。マンハッタン音楽院の大学院に留学中の美帆さんは時々猫禁断症状になるとこういう行動をとるらしいです。当然です。また後で登場していただきます。
●友人宅の猫編
友人達と猫自慢になると、どうしてもメールでの写真が飛び交います。それらをご承諾を得てお見せしましょう。
その1 神津家の猫 シジミちゃん
麻布高校から国立音大という滅多にないコースの先輩の作曲家・神津善行さんには色々と面倒を見てもらっています。ある時猫自慢の応酬から以下の写真が送られてきました。大勢の中の一人らしいです。
神津さんからのメールもご了解を得てご紹介させていただきます。
以下、神津さんからのメールです。
この猫は出世猫なので(何故出世猫かというと、女房が<この猫は出世猫だ!>と言うので平和のために家族全員が出世猫だと思うことにした)それ故に・・現在は「シジミ」だが、いずれは「アサリ」「赤貝」「ホタテ」などと名前が変わる予定。因みに何回ぐらい変えるのか?」と聞いたら「貝の種類は10万種以上あるから一年に10回変えても一万年は持ちますよ」と答えが返ってきた。この猫の祖先は狸と浮気をしたのだと女房は信じている。
とのことです。
このあと再び神津さんからメールをいただきました。ヤマシタが「猫フンジャッタ」を弾けるかどうかなど猫と音楽論争をし、最後のオチが「俺はマタタビ物が一番好きだ」と言って「大利根月夜」を口ずさみながら何処かへ遊びに出て行きました」という大傑作でした。
その2 茂木家のキジオちゃんとシヅオちゃん
N響の首席オーボエ奏者で指揮者でエッセイストで「のだめカンタービレ」の監修とライブの先駆者、茂木大輔氏とは長い付き合いだが、ここ数年でとうとう猫者になってしまいました。
呼び名がご家族の都合でときによって変わるとのことですが、これもよくある猫者現象ですね。ご家族共々ぞっこんで、時々こうして写真で自慢をしてくれます。猫侵略完了! 右がキジオちゃん、左がシヅオちゃんです。2匹とも♀です。
その3 平田家のきなこちゃんとすみちゃん
平田悦朗&摩利子ご夫妻は長年の友人で聴き手ですが、同時に強烈な猫者です。自家製の猫本まで出されています。これまでは野良猫ばかり撮っていましたが、とうとう自宅で飼えることになり、こういう幸せな光景が出現しました。
白いほうの猫はきなこちゃん。
黒いほうの猫はすみちゃん。
以下、平田さんよりお便りです。
「わが家では最近はボール遊びがマイブームです!布に綿を詰めた小さい手作りボールなんですが投げるとワンコのように咥えて持ってきたり自分で壁にぶつけてドリブルもします!!これはいつも動画で残したいと思っているのですがなかなかうまく行きません。引き続き挑戦します。添付はきなこが咥えてきた時のものです。(ポスターが猫トイレの後ろで申し訳ございません)」
NYトリオのポスターが見えます。ありがとうございます!
その4 岩原ピットイン 岡淳朗さんのリコちゃん
ホテル兼ライブハウス・岩原ピットインには、年に一度は一人で「作曲合宿」に行きます。オーナーシェフの岡さんのイタリア料理は美味しくて一週間毎日食べても飽きません。昌子夫人共々強烈な猫者で、滞在中の話題のほとんどは猫です。リコちゃんの面白エピソードだけで時間がたちます。8歳(オス)です。
その5 山田道子さんのタビオちゃん
「サンデー毎日」連載に先だって田原総一朗氏と対談をしましたが、そのときの打ち上げで山田編集長と猫談義になり、猫手拭いなど出して自慢しました。するとその翌日に「どうだ!」とばかりに送られてきたのがこのタビオ君です。もう信頼しきっているポーズですね!
その6 吉野ゆかりさん宅のたろうちゃん
吉野ゆかりさんは我々のたまり場だった伝説の酒場「ホワイト」によく現れて「ホワイト」のママのミーコさんの右腕になっていました。編集者兼ライターで、最近は「国際中医薬膳師」の資格も取られました。猫アレルギーがあるのに可愛さに負けるという性質で、この「たろう」君は、一代目「たろう」君の生まれ変わりと直感してショップで手に入れたそうです。ただし、メス猫です。
以下、吉野さんからのメールです。
本人は美猫を自負しておりまして…相当プライドも高いので、出来たら可愛いとこを載せていただけると、ステージママの面目がたちます。先日送った写真や、今から送るのも見ていただけますか? ただ、洋輔さんが、あの写真をご指定でしたら、そのまま使ってくださっても大丈夫です。たろうには内緒ということで。
ということで、両方載せることにしました。
その7 酒場「くぼがた」のプーちゃん
立川で行きつけになった酒場「くぼがた」にはご主人の「棟梁」をはじめ面白い常連さんが沢山います。国立音大のジャズコースの生徒も来るようになって、月に一度「投げ銭ライブコンサート」も行われています。オーナーの田辺家のヌシがこのプーちゃんです。
その8 竹村家のハリーさん
30年近く通っている鍼灸師の竹村文近先生は、以前は犬派だったのですが、ある雨の日に足に体当たりをしてきた小猫をそのまま連れ帰って保護してから、猫派になりました。「ハリー」という名前を付けて可愛がりました。由来はもちろん鍼灸のハリです。やがてもらわれていきましたが、その後、立川の我が家の向いの松本家から小猫をひきとって「ヨーちゃん」と名付けました。長い年月の後、この写真の子が現れて2代目ハリーとなりました。すでにもらわれ先も決まっています。ヤマシタは治療後見せられて、わざわざ車まで携帯をとりに走って撮影しました。首にひもがついているのは先生が次の患者さんを治療中にハリーがイタズラをしないようにするためです。
その9 天田さん宅のクレオさん
ドイツに住むフルート奏者の天田透さんとは「<思い>という言葉を安易に使うな。日本は<思い星人>に侵略されている」という思想のもとに、二人で地球防衛軍を作っている戦友ですが、猫好きとは知りませんでした。ぐじゃぐじゃのドイツの小猫たちにはまだ名前がついていないようです。母親の名前はクレオです。
その10 田堀さんの子猫
毎回「猫ラシ」に現れる図々しい我が家の美猫、リーちゃんのお里はお蕎麦屋さんの「田堀」です。そのお店で台所に現れる野良ちゃんをニャロメと名付けて可愛がっていたのですが、やがてダンボール箱の中に小猫を三匹産みました。日頃猫自慢のヤマシタがすぐに飛んでいって、動物病院に連れていって親子共々除菌と去勢の処置をしました。ってこれMK(前に聞きました)でしたっけ?
ニャロメはその後居場所を変えたらしく現れなくなりましたが、このあいだひょっこり、この子が来たというので慌てて見に行きました。
以下、「田堀」ママのお便りです。
「子猫ちゃんの名前ですが…我が家にきて3日で姿を消してしまったので、名前はありません。ニャロメ2号と山下さんとは、言っているのですが…」
その11 フェロンさんの家の猫。名前はタイガー。
結成23年目になったNYトリオのドラマー、フェロン・アクラフさんのブルックリンの家に、受験前の挟間美帆さんが下宿していたことがあります。タイガーがすぐにやってきてなつきました。揚げ句の果ては仕事中のPCの上に座り込んでしまうという図々しさです。でかくて重いので、どけるのが大変だったようです。
・猫と美女編
さて、お次は「美女と猫」です。なんとなく猫には美女がつきもの、という感じですが、どちらが魅力的なのか? これは素晴らしい二人のプレイヤーのデュオ演奏と同じで、どちらも引き立つのであります!
その1 高遠彩子さんとルナちゃん
高遠さんは最強の蕎麦者で「蕎麦こい日記」という本を飛鳥新社から出しています。と同時に超高周波音声を駆使して世界を駆け回る歌手でもあります。蕎麦の知識と実践で完敗し、超高周波音声でしびれさせられたヤマシタは、猫攻撃でようやく均衡を保っております。以下、高遠さんのお便りをお目にかけます。
ルナちゃんは友人の家の猫です。捨て猫だったなんて信じられないくらい、アイドル級にかわいいでしょう? もともと大の犬好き、しかも柴犬秋田犬専門だった私ですが、ルナちゃんによって猫好きの扉が開かれてしまい、山下さんによって猫愛爆発泥酔状態になってしまいました。今ではあらゆる友人の家でも道ばたでもどこでも猫がいれば私も鳴きまくり撮りまくっております。特技?はその猫と同じ波長の声で鳴けることで、半分くらいの猫はびっくりして固まっておめめぱちくりになり、ますますかわいいです。
その2 下前依央さんのチムニーちゃん
下前さんは、和歌山での「村上ポンタ秀一・スペシャルトリオ」公演の時に現れてくれました。店の外で母上共々お会いしましたら、黒猫3匹がいるワンピースが目に飛び込みました。NYトリオのCDアルバム「Triple Cats 」そのものではないですか。「どこでそれを手に入れたのですか?」と思わず探求しましたら、母上が関西の老舗スーパー「イズミヤ」で偶然見つけて購入されたとのことでした。やがてメール交換の時に、生身の猫を並べたこのように可愛くも創造的な写真をいただきました。「無理矢理感いっぱいの、クアドラプルキャッツ」とコメントされていたのにも笑ってしまいました。猫ちゃんの名前はチムニーで、煙突から出てきた直後のように真っ黒なことに由来しているそうです。3歳の女子です。シングル、ダブル、トリプルの次が「クアドラブル」という事も教えていただきました。お礼申し上げます。
その3 狭間美帆さんとミーアちゃん
留学前の挟間美帆さんが、おばあちゃんの家に行ってミーアちゃんを抱いているところです。ご自宅マンションは猫禁止なので、禁断症状が出ると会いに行っていたようです。
●番外編
ここでは野良ちゃん関係を集めました。我が家のリーちゃんも、ピロちゃんも、たどればそうなのですが、今回二人は遠慮させました。
その1 コンビニ猫
都心から車で帰る時に、国立府中インターを降りてすぐのコンビニによく寄りますが、そこの駐車場にいる子です。思わず写真に撮ってしまいました。車が相当近づいても平気で座っています。最近見かけないのでちょっと心配です。
その2 担当編集・猫嵐猫麻女史の家のそばの地域猫 どっしり猫とその仲間
このブログの担当編集・猫嵐猫麻女史は、もともとは自分の顔が犬に似ていると思い込んだのが理由で完璧に犬派らしかったのですが、ヤマシタの影響により、今は圧倒的な猫派になられたそうです。ご夫君との話題のほとんどが、今や地域にいるノラ猫たちだとか。いわく、「猫はかすがい」だそうです。彼らに適当にゆるい名前を付け、ストーカーのごとくケータイでの撮影を繰り返しておられます。そのうちに猫嵐版「猫ブログ」もできることでしょう。(右が「どっしり猫」。左は「その仲間」。ロケ地・門前仲町)
その3 猫返し神社の猫(マフラー付き)
時々「猫返し神社」に寄りますが、このあいだは寄贈された石猫ちゃんがこんな風になっていました。誰がマフラーをかけたのか、いつ回収に来るのか。
「猫曜日ミステリー・猫が見た殺人事件・猫返し神社に残された猫マフラーの謎とは?」と妄想が膨らみます。最後は猫百匹が集まって断崖絶壁に殺人犯を追いつめる。そこに猫好きの刑事が駆けつける!
その4 山下家ゆかりの猫 ニャロメ1号
我が家のトリプルキャッツの一員で一番図々しいリーちゃんのお母さんです。まだ子供を産む野良ちゃん時代に撮りました。この後2匹の子猫を生んで、しばらくして毎日来ていたお蕎麦屋さんの「田堀」から姿を消しました。
その5 諸橋家の月見ちゃん
ニャロメの子供でリーちゃんの妹です。諸橋家にもらわれていきました。お蕎麦屋さんの子だから「月見ちゃん」になりました。写真に写っている方が、紹介者の宮嵜真優さんです。テキサス育ちの翻訳家で私の友人です。
その6 心(くくる)ちゃん
以前に「田堀」でバイトをしていた宮薗さんがもらってくれました。娘さんが沖縄の芸能を習っているので「心」という意味で「くくる」と名付けました。この子もリーちゃんの妹です。
どちらの猫もリーちゃん同様美猫だと思います。身内びいき全開ですが、とすると、ニャロメ1号のお相手はどこの誰だ、と思わざるを得ません。豪邸に住む美貌の若旦那だったのか。ある夜、路地で出会って一目ぼれ、そのまま一緒に近所の物置に行くと、そこに死体が、などとまたもや猫ミステリー妄想が膨らみます。ま、雄猫は出産後は一切面倒を見ないそうなので確定は不可能です。
その7 関根宅の猫 左からマップン なおちゃん めめさん
この「猫ラシ」の最初に何度も出てきたように、関根家の一郎、有紀子ご夫妻が私の猫師匠です。この家に行く度に「ここの猫たちは本当に人間だなあ」と思ってしまいます。どこか存在感がちがうんですね。写真からも充分に伝わると思います。
その8 耳にいたずらをした我が家のアーちゃん
関根猫の血を引くアーちゃんは我が家の長老として相変わらずニラミを聴かせていますが、最近は少しソフトになりました。それにつけこんで、耳をいじって折り畳んだらこういうことになりました。もとに戻る前に急いで写真に撮りました。「ミミズク・アーちゃん」と名付けて関根本家にもお送りしました。
というわけで、さまざまな猫様たちに出演いただきました。年齢名前親の名前やお便りまで詳しくお伝えできたものから、そうでないものまで不ぞろいになってしまいましたが、どうかお許しください。ご出演の方々にあらためて心からお礼申し上げます。人間の皆様の変わらぬ「我が子を思う気持ち」の深さには打たれました。
さて、下の写真は急に自慢したくなった山内ジョージさん作の「猫のれん」です。有難くいただいて、大きなコンサートの時には必ず楽屋の扉にかけます。猫の姿が集まって大きな「猫」という文字が出来ているんですよ。今度、是非見に来てくださいね。
次はどうなるのか。
自分でもどこに連れていかれるのか楽しみになる、深いふかい猫の世界が続きます。
(2011年11月10日更新)
