笹井一個作品集『ガソリン』特設サイト


笹井一個×庄子結香(カレラ)対談vol.2

対談 vol.2

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他にも、笹井さんがこだわられていた部分というと、二色刷り(※二色だけでおこなう印刷)のページですよね。
笹井
そうですね、私の方から作りたいとお願いして。特に色の指定はしていなかったので、色選びは庄子さんにお任せでした。
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庄子さんに特色の候補を作っていただいて。その中から笹井さんが「黄色×グレー」の組み合わせを選ばれていました。
笹井
本全体の差し色になるし、(候補に出ていた中で)一番明るい印象だったので。
庄子
ちょっとだけ赤味が入った黄色ですよね。
笹井
せっかく特色を使えるので、それなりに特色の有り難みがある色だと良いなと(笑)。
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特色の候補には黄緑色も上がっていました。
庄子
クリームソーダの絵があったので、私は黄緑色に引っ張られていました(笑)。
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黄色を使うと、「クリームソーダがビールに見えるんじゃないか!?」という話もあって。
庄子
プリンなど黄色に合うモチーフもあったので、特色選びはちょっと悩みましたよね。
笹井
でも、黄色がのって美味しそうな絵になったと思います(笑)。

「黄色×グレー」の二色刷り

「黄色×グレー」の二色刷り

クリームソーダの色に悩んだ見開きページ

『青酸クリームソーダ』(講談社)

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元々モノクロで描かれたイラストだったので、特色をのせることでけっこう印象が変わったなぁと思います。庄子さんがモノクロの絵を二色刷り用に版分け(※黄色とグレーを載せる箇所を指定)してくださって。
笹井
そうなんです!!
庄子
本当だったら、笹井さんと話しながら進めるべきだと思ったんですが、こちらで色をのせてから、チェックしていただく方がスムーズかなと思ったので。
笹井
そこは、全幅の信頼を寄せています!
庄子
ありがとうございます(笑)。
笹井
最初にデザイナーさんを決める時に、自分とセンスが近い人というか……細かいやり取りをしなくても感覚で分かってもらえそうな人、ということで庄子さんにお願いしていたので。庄子さんがデザインされている音楽雑誌「AFTER HOURS」の表紙がすごく面白くて。それを見て良いなって。
庄子
デザイナー冥利につきます。『ガソリン』のデザインは、笹井さんに「好きにデザインしていい」と言っていただいた部分が色々とあったので、任せてもらえて楽しかったです。
笹井
私も楽しかったです。あたり前の話なんですけど、作品集はめくってもめくっても自分の絵だから、デザインが入った時に私自身も楽しめる意外性があったら嬉しいなと思っていて。そういった要素を庄子さんが盛り込んでくれた。特に二色刷りのページは、知り合いからもとても好評です。
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二色刷りは「黄色×グレー」の他にも、「金×黒」と「銀×黒」のパターンもありますね。
庄子
金と銀は、ゴージャスな雰囲気を出したかったので使わせていただきました。これまでも金と銀のどちらかを使うことはあったんですが、一冊の中で両方を使うデザインは私も初めてでした。
笹井
両方使うと、こってりするんですかね?
庄子
そうですね。でも、『ガソリン』の場合は絵自体の存在感が強いので、金と銀の濃さにも全然負けないんです。
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確かに!「金×黒」の二色刷りは、ループ絵と交互に挟んである構成も格好良かったです。
庄子
ありがとうございます。これは今回ぜひやりたいと思っていて。最初の構成案ではループ絵だけを固めて並べていたんです。でも、ループ絵が何枚も続くと、ページをめくった時の流れが重くなってしまった。それでループ絵の間に「金×黒」の二色刷りを挟み込んだんです。ループ絵は一枚の密度が高いから、その間に二色刷りを挟み込むことで、すっきりした印象になるかなと考えました。

ループ絵と二色刷り(金×黒)を交互に繰り返す構成

ループ

「wireless6」フライヤー


多色

右ページ) SFマガジン掲載『蟻の王——カルフォルニアのお伽噺』(早川書房)
左ページ・以下) 笹井一個HP「ガソリン」&自費出版本より


ループ 多色 ループ
笹井
DTP(※書籍などの出版物をパソコンを使って制作すること)の仕事をしている友達が、「大変だったろうなぁ…」としみじみ言っていました(笑)。ループ絵のページはフルカラーだから、その間に見開きずつ二色刷りを挟み込んでいくのは複雑な構造ですよね。
庄子
そうですね。デザインをしている時は楽しかったんですけど、やはりややこしくて後々の作業で泣かされました(笑)。