笹井一個作品集『ガソリン』特設サイト


笹井一個×庄子結香(カレラ)対談vol.4

対談 vol.4

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『ガソリン』で、特にお気に入りのページがあったら教えてください。
笹井
『秋の牢獄』と『義眼の少年』の見開き。ここがすごく好きです。全然違う2作品の絵なんだけど、どちらも真ん中に固まりがある構図なので、対のようにも見える。それを庄子さんが見つけて並べてくれて。このレイアウトを見て、私も初めてこの2つが似た構図だったと気付いたので面白かったです。

笹井さんがお気に入りの見開き

笹井さんがお気に入りの見開き

左ページ)『義眼の少年』(光文社)、右ページ)『秋の牢獄』(角川書店)

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笹井さん自身、庄子さんのレイアウトを通して新しい感覚で自分の絵を見れたということですか。
笹井
そうですね、本当にそうです。
庄子
最初に、絵のデータだけが届いた時「どの作品が、どのシリーズの絵」ということが分からないまま作業をはじめたんです(笑)。年代別とか、作品ごとに並べることも出来るんですけど、ほぼミックスした状態でレイアウトしています。
笹井
この見開きは、その醍醐味が出ているなぁと感じます。「これは、有名な書籍の絵」とか、「これは、マイナーな絵」という事ではなくて、とてもフラットに絵を扱ってもらった気がします。それがすごく嬉しかったです。
庄子
贅沢な使い方ですよね。デザインの方向性について、「乱暴さがあっても大丈夫」と笹井さんにおっしゃっていただいていたから、かなり思い切ったことが出来たんだと思います。
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庄子さんもお気に入りのページはありますか?
庄子
『セクシー・ドールまなみちゃん』の、「泣いている男の子」と「裸の女の人」を重ねたページがけっこう好きです。

庄子さんがお気に入りのページ

庄子さんがお気に入りのページ

右ページ)SFマガジン掲載『セクシー・ドールまなみちゃん』(早川書房)

笹井
あぁ! 私もすごく好きです。
庄子
でも、組み合わせてみたはいいけど全く違う雰囲気の絵同士だったので、内心これで大丈夫なのかと制作中は心配でした。絵を重ねる時は、コントラストのある絵を合わせようと思っていて、例えば『トッカン』の「強面の男の人」と「女の人」もそうです。

コントラストのあるイラストを重ねたページ

『トッカン』

左ページ)ミステリマガジン掲載『トッカン』(早川書房)

笹井
なるほど。これも対になっているんですね。
庄子
そうなんです。本全体の作りでも入口と出口を意識しているんですが、それぞれの章の中でも、最初のページと最後のページは対になるように構成したいと思っていました。
笹井
おぉ〜〜!
庄子
そういった変化で区切りを入れるというか。
笹井
何度かめくっていると、デザインの意図みたいな部分が後から分かることがありますよね。私も友達と話している時に発見したんですが、『ド人生2』の最後のコマと、次のページに収録されている「桃の絵」はイメージ的に繋がっていますよね?『ド人生2』は、男の人が太陽に突っ込んでいく絵で終わる。それで次のページをめくると、宇宙に浮かんでいる桃の絵がある。これに気付いてすごく感動しました。この桃の絵は、友達の結婚祝いに描いた絵なんですよ。描いた時とは全然違う意図の物語になっていて、すごく面白かったです。
庄子
そうだったんですか…! 絵の順番を決める時に、ちょっとだけストーリーをつけさせてもらっていたんです。桃の後には、ピンク色の自転車の絵が続くんですが、そのあたりは伝言ゲームのようなイメージで構成しています。笹井さんの絵は、桃の絵ひとつをとっても物語を感じるというか、見る側が色々と想像出来る広がりがありますよね。だから隣り合わせで違う絵を並べていてもイメージがリンクしやすいんだと思います。

イメージが繋がっていく構成

「太陽に突っ込む男」→「宇宙に浮かぶ桃」→「ピンク色の自転車」という風に、伝言ゲームのようにイメージが繋がっていく。

上)『ど人生2』第1話「走る男」(毎日放送)
下)自費出版本より 

「太陽に突っ込む男」→「宇宙に浮かぶ桃」→「ピンク色の自転車」という風に、伝言ゲームのようにイメージが繋がっていく。

「太陽に突っ込む男」→「宇宙に浮かぶ桃」→「ピンク色の自転車」という風に、伝言ゲームのようにイメージが繋がっていく。