笹井一個作品集『ガソリン』特設サイト


笹井一個 インタビュー

作品集『ガソリン』について

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作品集の表紙にも、大小さまざまなキャラクターが描かれていますね。
笹井
色々な生き物がパレードしている様子を描けたらいいなと思っていて。でっかいのも小さいのも一緒にいるイメージです。モチーフとしては、女の子や巫女が神様を宿すような現人神も好きです。
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現人神ですか?……調べてみると、「人間の姿をした神様」と書いてありますね。国外では「特定条件の下で生まれた幼女を 現人神として崇める」という例もあるそうです。
笹井
女の子と大きい存在がリンクしているモチーフって、世界中にありますね。さっき話に出ていた女の子と大男の組み合わせで描いている女の子や、『夜想譚』の神様みたいなキャラクターが、怒ったり笑ったりしているのは、自分の中では繋がっているかも。
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一見残酷なことも気まぐれに楽しんでいる感じが一緒だったりしますね。表紙の制作についても少し聞かせてください。表紙の絵は、よく見ると木目が入っています。
笹井
これは板のテクスチャを引いています。最初に、板を墨で汚して、テクスチャになる板切れを作りました。それをスキャンして、その上からCGで絵を描いています。今まで写真をテクスチャに使っていたので、木そのものを使ったのは今回が初めてで。
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どうして木を使ってみようと思ったんですか?
笹井
木に描いてみたかったという単純な欲求と、ご近所さんに木工所があるので相談にのってもらえるから使ってみようかなと。
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制作時に悩んだ部分などがあったら教えてください。
笹井
なかなか描けなくて大変でした(笑)。描いては捨てることを繰り返して。ある程度、構図がキャッチーになるようにと思っていて、最初は大男の手に女の子を乗せてパレードしているイメージで描いていたんだけど、結局それはやめてしまって。斜め上からの構図も試したんですが、最終的には真横からのフラットな構図になりました。
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表紙のキャラクターは、やおよろずの神様のようにも、百鬼夜行のお化けのようにも見えますね。
笹井
表紙は好きに見てもらえればと思います。基本的に、見る人の想像で解釈してもらいたいなと思うので、絵にも想像の余地がある方が好きです。でもそうなると、あまり描き込めないですね。
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説明的になったり、「これだ」と限定出来る描き込みはあまり入れたくないですか?
笹井
そうですね。でも、その案配が難しいです。書籍の装画などでも、伝わる速度を求められている時は、よく考えないと何だか分からない絵では困るし。逆に、想像する人は何を見ても想像出来るから、具体的なモチーフは必要ないんじゃないかと思うこともあって。そう考えていくと、抽象画みたいになってしまうんですよね。
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最近では、抽象的なアプローチの作品も制作されていますよね。それでは最後に、画集が出たことに関してのお気持ちを教えてください。
笹井
色々とご感想もいただいていて、今のところ好評のようで嬉しいです。今までも周りに、自分の仕事について話してはいたんですけど、作品集でひとまとめになると途端に認知度が上がるというか。「こんなことしてたんだね」と言ってもらえることもあって、作品がまとまるのって良いことだなぁと。分厚い本なんですけど、意外と読みやすいというご感想ももらっていて嬉しいですね。持ちやすさは、ソフトカバーの強みかなぁと。個人的に、本体にカバーや帯などの付属品が付いているのが煩わしいと思っていたので、「付属品は全て外して見る」という想定で作りました。なので、購入後は帯をはずして見ることをおすすめします(笑)。