出版メイキング 色校正

「notebook」はほぼボールペンで描かれた作品を集めたために、色は黒しか使っていない。普通なら、黒一色で印刷すれば済む企画である。しかし、「notebook」は原画を見た際に、戦慄すらおぼえるほど迫力を与える作品。
手で描いた生の絵の味わいを伝えるために、精密な原画再現の計画がおこなわれた。例えば、紙は種類によって白さがまったく違い、表面の質感によって、インクの付き具合も全然変わってくる。例えばざらざらした紙ではインクはあまりつかない(週刊漫画誌のように)。そして黒一色といえど、インクには通常のブラックに加えて、さらに深いスーパーブラックという種類もある。また、黒一色だけで刷らずに、もう一色グレーも足して2色で刷れば、モノクロームではあるのだが、中間のグレーゾーンがとても豊かに表現できることになる。そのように、紙の種類、インクの種類、モノクロームの色数と、何パターンかの可能性を考え、「notebook」の同じ原稿を刷り試してみた。

色校正

上図は8種類の色校正。紙の種類、インクの種類、モノクロームの色数を変えながら、八種類のバリエーションを作った。

絵によって、どの刷り方が良いかを見極め、赤字で指示を書き込んだ校正紙。ページによって黒一色で刷ったり、二色で刷ったり、一ページごとに刷り方を変えるという方法を取った。

さらに、色見本を見た感じで、女性の顔のタッチが濃すぎると感じたので、柔らかく色を出してほしいと指示を出した色校正。このように一部分ずつ刷り具合を決定していく。

さらに、紙の厚さを決定するための見本も作る。両面に刷ってみて、裏の絵が表から透けて見えると良くない。だから透け具合をチェックする。

紙の種類の差は、例えばこのようなもの。右はクリーム色がかっていて、左はもっと真っ白。しかし両方、白色として流通している紙。どちらのほうが原画の印象に近いかを比べて選ぶ。

さらに黒を刷ったときに、色ムラが再現されるかどうかのチェック。今回は原画を忠実に再現する企画だから、色ムラをあえて見せる。この場合、黒がべったり強すぎるとムラは見えなくなる。だから黒の微妙な階調が再現される刷り方を選ぶ。ちなみに通常の漫画印刷などでは黒の色ムラは見えなくするのが通例なので、逆の効果を狙っている。

二色分解

上図2枚は原画を印刷用に色分解した図。黒と青の色味が見えることと思うが、黒はK版、青はM版と呼ばれ、このページは二色の版に色分解されている。版とはインクをつけるフィルムのようなものだが、今回はK版に黒、M版にグレーを刷っていく。図版を見ればわかるが、女性の顔にうっすら描かれた線は、黒より薄い色で表現するためにグレーで印刷。髪はくっきり黒を出すために黒で刷る。部屋のなかの図では、全体が青みがかっているが、これは、事物の輪郭線は黒で刷っても、カゲや模様などの線はそれより薄く見せたいために、画面全体に渡って、K版(黒)とM版(グレー)が合わさっていることを示している。このように一枚の絵から線を抽出し、黒とグレーに巧みに色分けしてそれぞれを刷っていくことで、黒一色では表現できないモノクロームの深さを伝えることが出来るのだ。

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