Interview

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スペシャル座談会 堤大介 寺田克也 上杉忠弘 丹地陽子

スケッチトラベル企画者の堤大介と、参加作家である寺田克也、上杉忠弘、丹地陽子のスペシャル座談会! 全三回に分けてお送りしていきます。

Vol.2
世界中の参加作家たち

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では皆さん、このスケッチトラベル全体の中で、好きな作品や印象に残っている絵はありますか?
上杉
どれ、と選ぶのは難しいなぁ。達人ぶりから言うと、グレン・キーンの絵は印象的ですね。これは、実際に踊っている人をその場で描いた、と聞きました。
そうです。踊っているところを見て、それをスケッチしたんですよ。相当自信がないとできないですよね。
上杉
普通、そういう状況でこんな絵は描けないですよ(笑)。
寺田
もう踊っている身体の動きが、頭にある程度入っているんだろうね。
彼は生粋のアニメーターで、間違いなくアメリカのアニメーション界で、五本の指に入るような作家です。だから、寺田さんの言うように、見てそのまま写すのではなく、目に入った動きを自分なりに解釈して絵に起こせるような達人だと思います。本当にすごい。
寺田
オレはやっぱり、ニコラ・ド・クレシーのファンなので、彼の絵を生で見られたのはたまらなかったですね。
丹地
私は、ロニー・デル・カルメンの絵が好きです。この絵の女の子は、いつもロニーさんが描いているキャラクターなんですが、とても可愛いですよね。
上杉
彼の絵は、少し日本っぽい感じもありませんか? 僕は、彼と知り合うずっと前からウェブサイトなどで彼の絵を見ていて、ちょっと日本っぽさもあってすごく上手いなぁと思っていました。
彼は、今はピクサーで監督をやっています。『カールじいさんの空飛ぶ家』の序盤、無音のすばらしいアニメーション部分を演出した人です。
丹地
あと、原画を見たとき「きれいだなー」と感動したのは、カティア・チエンのパステルの絵ですね。
ロサンゼルスに住んでいる絵本作家の方です。もう本当に、良い絵を挙げたらきりがないですよね。それぞれに面白いエピソードがあったりもするし。僕はロバート・バレーの絵、すごいと思いました。あとエピソードとして印象的だったのは、僕がアルゼンチンまで会いに行ったカルロス・ニーネ。もともと彼の絵は大好きだったんですが、なにせかなり個性的でアクの強い方だと聞いていて…。実際会ってみたら、やっぱりすごく面白かったです(笑)。そしてフレデリック・バックは、僕がこのプロジェクトをやってきた中で最も印象的な出会いでした。彼が人生をかけてやってきたような事の一端を、僕もこれからやっていけたら良いな、と思わせるような。とにかく重要な体験でしたね。あれほどの巨匠に実際に会って手渡すという事で、僕も怖じ気づいている部分はあったんですが、ああやって時間を共有できて本当に良かったです。
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序文にもフレデリック・バックとのエピソードに触れられていますよね。とても感動しました。この企画に参加した作家からの感想で、何か印象的なものはありましたか?
企画を始めて、一番最初に突撃しに行ったのが、フランスの絵本作家であるレベッカ・ドートゥルメールでした。彼女から感想を言われた時はうれしかったですね。彼女は最初のうち、かなり僕らを煙たがっていたと思うんです。あまり乗り気ではなかった。でも、最終的には「本当はずっとこういう機会を求めていたのかもしれない」と言ってくれました。家にこもって作業をする事が多いので、それまではあまり他の作家との交流がなかったけれど、これをきっかけに新たな交流が生まれた、と。作家同士の交流を通じて広がっていくプロジェクトというのはすごく素敵だ、とも言ってくれました。そういう感想が一番うれしいです。
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『ロード・オブ・ザ・リング』を手がけた巨匠、ジョン・ハウに手渡しに行ったグレゴワール・ヴィレルモーのコメントも印象的でした。
そうですね。ずっと憧れていた作家に、スケッチブックを渡しに行くという体験。彼だけでなく、例えばイギリスの伝説的絵本作家クエンティン・ブレイクに渡しに行く事ができた、若い作家シルベイン・マークも。そんな体験が出来ただけで、本当に自分は幸せだと彼は言っていました。