ヨシタケシンスケ絵本おすすめ作品を全力で紹介する完全ガイド
「この りんご、もしかしたら りんごじゃないのかもしれない。」——たった一文で、子どもから大人まで「ものの見方」をひっくり返してしまう絵本作家がいます。ヨシタケシンスケさんです。
2013年のデビュー以来、MOE絵本屋さん大賞やニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞など国内外の賞を次々と受賞し、いまや日本でもっとも注目される絵本作家のひとりとなりました。書店の絵本コーナーに行けば、あの独特のゆるいイラストと哲学的なユーモアが目に飛び込んでくるはずです。
ただ、作品数が増えてきた今、「どれから読めばいいの?」「子どもに買うならどれ?」「大人が読んでも楽しめるのはどれ?」と迷う方も多いのではないでしょうか。個人的にもヨシタケシンスケさんの絵本はほぼすべて手に取ってきましたが、作品ごとにテーマも対象年齢も驚くほど違います。
この記事では、テーマ別・対象年齢別にヨシタケシンスケ作品を整理し、あなたにぴったりの一冊が見つかるようお手伝いします。
この記事で学べること
- MOE絵本屋さん大賞を2度制覇した作品とその魅力の違い
- 「想像力」「生き方」「親子関係」などテーマ別に最適な一冊がわかる
- 大人が読んで泣ける作品と子どもが爆笑する作品は別物である
- 初めてヨシタケシンスケを読む人に最適な「3冊の読む順番」
- ニューヨーク・タイムズ絵本賞を受賞した意外な一冊の正体
ヨシタケシンスケとはどんな絵本作家なのか
ヨシタケシンスケさんは、1973年生まれのイラストレーター・絵本作家です。もともとは造形作家・イラストレーターとして活動していましたが、2013年に初の絵本作品『りんごかもしれない』を発表し、絵本作家としてのキャリアをスタートさせました。
デビュー作がいきなり第6回MOE絵本屋さん大賞第1位を獲得。
この衝撃的なデビューから約10年で、ヨシタケシンスケさんは日本の絵本界を代表する存在になりました。作品の累計発行部数は数百万部を超え、翻訳版は世界各国で出版されています。
ヨシタケシンスケ作品の最大の特徴は、「子どもが自然に感じる疑問」を出発点にしていることです。「りんごって本当にりんごなの?」「服が脱げなくなったらどうしよう」「死んだらどうなるの?」——こうした素朴な問いを、ユーモアたっぷりに、でも決して軽くなく描きます。
だからこそ、子どもが声を出して笑いながら読む一方で、大人が読むと「ああ、こういうことを考えていたな」と胸が締めつけられるような深さがあります。この「世代を超える力」こそが、ヨシタケシンスケ作品が人気絵本の中でも特別な位置を占めている理由です。
まず読むべき定番おすすめ作品5選

ヨシタケシンスケ作品を初めて手に取る方には、まずこの5冊をおすすめします。どれも受賞歴があり、幅広い年齢層に支持されている「間違いない」作品です。
りんごかもしれない
すべてはこの一冊から始まりました。テーブルの上にあるりんごを見た男の子が、「もしかしたら、これはりんごじゃないのかもしれない」と想像を膨らませていく物語です。
「中にメカが詰まっているのかもしれない」「実は宇宙から来たのかもしれない」——次から次へと飛び出す「かもしれない」の連鎖は、読んでいる子どもの想像力に火をつけます。第6回MOE絵本屋さん大賞第1位を受賞し、ヨシタケシンスケさんの名前を一躍有名にした記念碑的作品です。
個人的な経験では、3歳の子どもに読み聞かせたとき、翌日から家中のものを指さして「〇〇かもしれない!」と言い始めました。この絵本の「感染力」は本当にすごいです。
りんごかもしれない 基本情報
もうぬげない
お風呂に入ろうとして服を脱ごうとしたら、途中で引っかかって脱げなくなってしまった男の子。「このまま一生脱げなかったらどうしよう」と考え始めるところから物語が展開します。
この絵本のすごさは、誰もが一度は経験した「服が脱げない」というあの瞬間を、壮大な人生哲学に変えてしまうところです。「脱げないなら、脱げないまま生きていけばいい」という開き直りの発想が、大人の心にも深く刺さります。
子どもは単純に「脱げないポーズ」が面白くてケラケラ笑い、大人は「ああ、困ったときにこういう考え方もあるな」としみじみする。この二重構造がヨシタケシンスケ作品の真骨頂です。
あつかったら ぬげばいい
第13回MOE絵本屋さん大賞第1位を受賞した作品です。「あつかったら ぬげばいい」というシンプルな提案から始まり、人生のさまざまな場面での「こうすればいい」が次々と提示されます。
「ふとっちゃったら」「おこられたら」「つらくなったら」——日常の小さな困りごとから人生の大きな悩みまで、ヨシタケシンスケさんならではの「ゆるい解決策」が並びます。でも、そのゆるさの奥に、「完璧じゃなくていい」「逃げてもいい」というやさしいメッセージが込められています。
ころべばいいのに
「嫌いな人がいる」という、子どもにとっても大人にとっても切実なテーマを扱った一冊です。MOE絵本屋さん大賞第2位、けんぶち絵本の里大賞を受賞しています。
嫌いな人のことを考えると気分が悪くなる。でも、嫌いな気持ちは自分ではどうしようもない。そんなとき、「あの人たち、みんな石につまずいてころべばいいのに」と思う主人公。
この絵本は「嫌いな人がいてもいい」と認めたうえで、その感情とどう付き合うかを一緒に考えてくれます。感動できる絵本であると同時に、発想力を鍛える絵本でもあります。
このあとどうしちゃおう
おじいちゃんが亡くなった後、男の子が見つけた「このあとどうしちゃおうノート」。そこには、おじいちゃんが「死んだあとにやりたいこと」がびっしり書かれていました。
「死」という重いテーマを、ヨシタケシンスケさんは驚くほど明るく、でも決して軽くなく描きます。「死ぬのが怖い」という気持ちを否定せず、「でも、こう考えたら楽しくない?」と提案してくれる絵本です。
親子で読む絵本としてはもちろん、大人がひとりで読んでも心に響く作品です。
テーマ別で選ぶヨシタケシンスケ絵本

ヨシタケシンスケ作品は、大きく分けて4つのテーマに分類できます。目的に合わせて選ぶと、より満足度の高い一冊に出会えるはずです。
ヨシタケシンスケ作品テーマ分布
想像力・発想力を広げたいとき
ヨシタケシンスケ作品の中でもっとも多いのが、「想像力」をテーマにした作品群です。
『りんごかもしれない』はその筆頭ですが、『なつみはなんにでもなれる』もこのカテゴリの傑作です。なつみちゃんが体を使って「なにか」になりきり、お母さんに当ててもらうという遊びの絵本。子どもの「なりきり遊び」の楽しさが全開で、読み聞かせの場で大盛り上がりする一冊です。
また、『あるかしら書店』は「こんな本あるかしら?」というお客さんのリクエストに、なんでも出してくれる不思議な書店のお話。第5回「小学生がえらぶ!”こどもの本”総選挙」で4位にランクインしており、本好きの子どもに特におすすめです。
生き方や哲学を考えたいとき
『このあとどうしちゃおう』や『ころべばいいのに』に加え、『メメンとモリ』がこのテーマの最新作にして最高傑作と言えるかもしれません。
『メメンとモリ』は、ヨシタケシンスケさん初の長編絵本作品です。キノベス!キッズ2024第1位、MOE絵本屋さん大賞2023第2位、静岡書店大賞第2位と、発売直後から主要な賞を総なめにしました。
「生きること」と「死ぬこと」を正面から描きながら、読み終わったあとに不思議と前向きな気持ちになれる。それがこの作品の凄みです。大人向け絵本としても非常に高い評価を受けています。
ネガティブな感情と向き合いたいとき
『ころべばいいのに』のほか、『つまんない つまんない』がこのカテゴリに入ります。
「つまんない」という感情を徹底的に掘り下げるこの作品は、2019年にニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞しました。日本の絵本がニューヨーク・タイムズで認められたという事実は、ヨシタケシンスケ作品の普遍性を証明しています。
「つまらない」という気持ちは悪いことじゃない。でも、つまらないと思っているのは自分だけかもしれない——そんな視点の転換が、子どもにも大人にも新鮮に響きます。
親子の日常を楽しみたいとき
『もうぬげない』や『なつみはなんにでもなれる』は、親子の何気ない日常を切り取った作品です。特に『なつみはなんにでもなれる』は、お母さんと子どものやりとりがリアルで、読んでいる親が「うちもこんな感じ!」と共感すること間違いなしです。
大人にこそ読んでほしいヨシタケシンスケ作品

ヨシタケシンスケ作品は「子ども向け絵本」というカテゴリに入っていますが、実は大人が読んだときにこそ真価を発揮する作品が少なくありません。
大人向けとして特におすすめしたいのは、以下の3冊です。
第1位:『メメンとモリ』——生と死について、大人になってからもう一度考え直すきっかけをくれます。忙しい日々の中で忘れていた「なぜ生きているのか」という根本的な問いに、やさしく向き合わせてくれる一冊です。
第2位:『このあとどうしちゃおう』——親を亡くした経験がある方には、特に深く響くはずです。「死後の世界」をユーモラスに描くことで、悲しみの中にある温かさに気づかせてくれます。
第3位:『ころべばいいのに』——職場の人間関係やSNSでのストレスに疲れている方に。「嫌いな人がいてもいい」という許しのメッセージは、大人の心を軽くしてくれます。
年齢別おすすめの選び方
ヨシタケシンスケ作品は対象年齢が幅広いですが、年齢によって「刺さるポイント」が変わります。お子さんへのプレゼントや読み聞かせに迷っている方は、以下を参考にしてみてください。
はじめての一冊
『もうぬげない』がベスト。視覚的なおもしろさが強く、ストーリーを完全に理解できなくても楽しめます。
想像力が爆発する時期
『りんごかもしれない』『なつみはなんにでもなれる』が最適。「もしかしたら」の発想を一緒に楽しめます。
深いテーマに触れる時期
『ころべばいいのに』『このあとどうしちゃおう』で、感情や生死について考えるきっかけを。
ただし、これはあくまで目安です。ヨシタケシンスケ作品の魅力は、同じ絵本でも年齢によって「読み取れるもの」が変わるところにあります。4歳のときに笑って読んだ『もうぬげない』を、10歳で読み返すと違う感想を持つ。そんな「成長とともに深まる」体験ができるのも、この作家の作品ならではです。
受賞歴から見るヨシタケシンスケ作品の実力
ヨシタケシンスケ作品の評価は、国内外の受賞歴を見れば一目瞭然です。主要な受賞作品を整理してみましょう。
MOE絵本屋さん大賞で2度の第1位を獲得している絵本作家は非常に稀であり、ヨシタケシンスケさんの作品がいかに書店員からも支持されているかがわかります。さらにニューヨーク・タイムズ絵本賞の受賞は、言語や文化の壁を超える普遍的な魅力の証です。
初めてのヨシタケシンスケ おすすめ読書順
「どれから読めばいいかわからない」という方のために、個人的におすすめの読書順を提案します。
ステップ1:『りんごかもしれない』で世界観に触れる
まずはデビュー作から。ヨシタケシンスケさんの「ものの見方をひっくり返す」スタイルを、もっともわかりやすく体験できます。短くてテンポがいいので、絵本をあまり読まない大人にも入りやすい一冊です。
ステップ2:『もうぬげない』で笑いの深さを知る
次に、ユーモアの奥にある哲学を味わいましょう。「困ったことへの向き合い方」が、笑いの中にさりげなく描かれていることに気づくはずです。
ステップ3:『ころべばいいのに』で感情の扱い方を考える
ここから少しテーマが深くなります。ネガティブな感情をどう受け入れるか。子どもと一緒に読むなら、読んだ後に「嫌いな人っている?」と話してみてください。驚くほど深い会話ができます。
この3冊を読めば、ヨシタケシンスケ作品の幅の広さが実感できるはずです。そこから先は、気になったテーマの作品に自由に手を伸ばしてみてください。人気絵本の選び方の基本にもなりますが、最終的には「自分が気になった一冊」を手に取るのが一番です。
ヨシタケシンスケ作品をもっと楽しむために
ヨシタケシンスケ作品を最大限に楽しむコツをいくつかご紹介します。
何度も読み返す——ヨシタケシンスケ作品は、一度読んだだけでは気づけない細かい描き込みやギャグが隠されています。背景のイラストや、ページの端に小さく描かれたキャラクターにも注目してみてください。
子どもと対話しながら読む——「あなたならどう思う?」「他にどんな『かもしれない』がある?」と問いかけながら読むと、子どもの想像力がどんどん広がります。正解がない絵本だからこそ、対話が生まれます。
大人同士で感想を共有する——意外かもしれませんが、大人同士で感想を語り合うと非常に盛り上がります。同じ絵本でも、年齢や経験によって受け取るメッセージがまったく違うことに驚くはずです。
もし漫画や小説も好きな方であれば、ヨシタケシンスケ作品は「絵本」という枠を超えた読書体験として新鮮に感じるでしょう。文字数は少ないのに、読後感は長編小説に匹敵する——それがヨシタケシンスケ作品の不思議な魅力です。
よくある質問
ヨシタケシンスケの絵本は何歳から楽しめますか
作品によりますが、もっとも低年齢向けの『もうぬげない』であれば2歳ごろから絵を見て楽しめます。ストーリーを理解して楽しむなら3〜4歳からが目安です。ただし、『メメンとモリ』や『このあとどうしちゃおう』のような哲学的なテーマの作品は、小学生以上のほうがより深く味わえます。大人が読んでも十分に楽しめるのがヨシタケシンスケ作品の特徴です。
プレゼントにするならどの作品がおすすめですか
相手によって変わりますが、万人受けするのは『りんごかもしれない』です。デビュー作であり代表作であり、ヨシタケシンスケの魅力がもっとも凝縮された一冊です。大人へのプレゼントなら『あつかったら ぬげばいい』が「肩の力を抜いていいよ」というメッセージとして喜ばれます。出産祝いには、親子で長く楽しめる『なつみはなんにでもなれる』もおすすめです。
ヨシタケシンスケの絵本は大人が読んでも楽しめますか
むしろ大人のほうが深く楽しめる作品が多いです。子どもは絵のおもしろさやテンポの良さで笑いますが、大人は「この視点の転換は自分の仕事にも通じる」「この感情、自分にもある」と、より多層的な読み方ができます。特に『メメンとモリ』『ころべばいいのに』『このあとどうしちゃおう』は、大人が読んで涙する方も少なくありません。
ヨシタケシンスケの絵本は海外でも評価されていますか
はい、高く評価されています。『つまんない つまんない』の英語版がニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を2019年に受賞しました。これは日本の絵本作家としては非常に稀な快挙です。作品は多くの言語に翻訳されており、ヨシタケシンスケさんの「視点を変える」というテーマが、文化や言語を超えて共感を呼んでいることの証拠です。
ヨシタケシンスケの最新作はどれですか
長編絵本『メメンとモリ』が近年の話題作として大きな注目を集めました。キノベス!キッズ2024第1位をはじめ、複数の賞を受賞しています。ヨシタケシンスケさんは精力的に新作を発表し続けているので、書店の新刊コーナーや出版社の公式サイトをチェックすることをおすすめします。新しい作品が出るたびに「今度はどんな視点で来るんだろう」とワクワクできるのも、この作家を追いかける楽しみのひとつです。